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無期転換権への対策準備は進んでいますか④

2017.10.01

 有期労働契約が5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みによって無期労働契約に転換する者が来年4月以降発生します。
 多くの企業では、定年の定めを満60歳とし、その後5年間経過した65歳まで継続雇用をしています。ところが65歳になった時点で再度再雇用契約をすると、有期労働契約が5年を超えるため、継続雇用者は無期転換の申込みをすると事業主は認めざるを得なくなります。特別な能力を持つ者や企業に必要な有資格者などは、65歳以上でも必要とされています。とはいっても65歳の方に無期を主張されても企業は困ります。
 このような継続雇用者に対しては、必要な手続きを踏むことで無期転換ルールが適用されない特例措置があります。つまり継続雇用者には無期転換の適用が除外されます。この適用を受けるためには、雇用管理措置に関する計画の認定申請が必要です。具体的には「第二種計画認定・変更申請書」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けなければなりません。簡単な申請書ですから早めに提出をお勧めします。さらに継続雇用者には、定年後の雇用期間は無期転換申込権が発生しない期間である旨を書面で明示しトラブルにならないようにしてください。

無期転換権への対策準備は進んでいますか③

2017.09.01

引き続き無期転換権対策について検討します。

 平成25年4月以降の労働契約法の改正後も、漫然と契約更新を続けて5年を超えている会社では、そのような有期雇用社員に対して、いまさら無期転換なんて言わないだろうと、雇止めを通知したところ、いきなり無期転換の主張されることが予想されます。しかも就業規則がない場合、無期ですから「終身」の雇用を要求してきます。死ぬまで働くことができるのでしょうか。正社員の場合は就業規則等で定年の定めをすれば60歳で退職です(その後65歳まで継続雇用はありますが)。
 しかし有期雇用社員で就業規則がなく、無期転換後の定年の定めもない場合、終身雇用とされる可能性が高いものと思われます。また、あわてて就業規則を作ろうとしても、今度は不利益変更の問題もあり、本人が合意するのは難しくなります。来年3月までは無期転換後の社員の就業規則は作り、その中に定年(継続雇用も)の定めを記載しておくべきです。
 その場合、正社員または有期雇用社員用の就業規則を一部準用することも考えられますが、どこを準用しどこは準用しないかもよく検討して作成してください。

無期転換権への対策準備は進んでいますか②

2017.08.01

先月に引き続き無期転換権対策について検討します。

 ●雇用契約は次回更新をしない、または5年を超えて更新をしない旨の合意をとる。

 これは不更新合意といいます。この不更新合意については、いろいろなケースがありますが、最初に雇用契約を結ぶ段階から「通算5回を超えて雇用契約を更新しない」とする方法です。この場合、会社と労働者が合意して契約すると法的なリスクは低くなります。しかし、後々、「やはりこの人は5年を超えて残って欲しい」と例外を認め、このような例外者が多く出てくるとなると、労働者に契約更新の期待を持たせてしまうことになり、本当に不更新合意があった疑わしくなります。不更新合意をしている場合は、5年を超える契約の更新の既成事実を作らないことが必要です。
 また無期転換間際になって不更新合意を結ぶ方法もあります。「無期転換を当社では認められない」といって退職を告げるのです。しかし、これは単に無期転換権を認めたくないという理由だけの法の趣旨を逸脱する行為とみなされ、法的トラブルになる可能性があります。どうしても労働者との間に不更新合意をとりつけたいのであれば、十分に説明する、早めに説明する、慰労金などの金銭等の支払いも検討するといったことが必要でしょう。

無期転換権への対策準備は進んでいますか①

2017.07.01

 労働契約法第18条が施行されてから平成30年4月1日で満5年が経過します。パートタイマーなどで5年を超える有期契約労働者には無期雇用契約への転換権(無期転換権)が与えられます。この無期転換権は事業主の承諾はいりません。「権利行使します」と言われれば認めざるを得ません。そこで会社は、様々な対策をとろうとしています。これから何回かに分けてその対策についての是非を検討します。

  • 権利行使される前に雇止めをする。

 平成30年4月以降に契約更新をすると無期転換権が発生する対象者には更新しない(雇止め)という方法があります。しかし、これは「無期転換権を与えたくないので更新をしない」という理由で雇止めしたことになり、労働契約法第19条の客観的に合理的な理由のない、社会通念上相当性を欠く理由で無効となる可能性があります。とって付けたような理由で雇止めをしても、実態は無期転換権の行使を避けるためとみなされ、これも無効となる可能性大です。従業員も無期転換権について期待していますので、安易な雇止めはトラブルにつながります。合理的な理由のない雇止めは法的なリスクを抱えており、かかる行為は避けた方が無難です。

未払い残業代の請求が突然やってきた。

2017.06.01

 近年、大手広告会社の過労自殺事件もあり、会社が未払い残業代を遡って支払うケースが急増しています。多くは労働基準監督署の調査・是正勧告を受けて、または弁護士を通じて請求されるケースの2通りあります。
 会社側は、給与に残業代分の色をつけている、残業代は〇〇手当に含まれていると本人も了解している、ウチの残業代は賞与に含まれている、年俸制だから残業代は払わなくともよい、課長には全て残業代はいらないといったことを言われます。いずれの言い分も法的な争い等になると会社側の主張ではまず負けます。
 全国展開している大手の法律事務所の中には、ネットを利用して簡単に未払い残業の請求ができる旨広告しています。働いている社員はさすがにそこまではすぐにやりませんが、人間関係がこじれて退職せざるを得ない結果となった社員は、気持ちがおさまらないので、こういったネット広告につられて手軽に請求してきます。会社はこのような請求文書が届いた段階で、初めて残業問題の重大さに気がつきます。現在、行政も残業問題には厳しい対応をしていますので、労働時間管理の整備を早々に進める必要があります。

ウチは10人未満だから就業規則はいらない?

2017.05.01

 毎年4月に就業規則を見直す会社が多いのですが、「ウチは10人未満しかいないので就業規則はいらない」と言われることがあります。確かに労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用する場合は、就業規則を作成し、労働基準監督署に「届出る」義務があります。しかし規模が10人未満の使用者は、届出の義務がないからといって作成しなくてもよいとは言えません。
 たとえ1人でも労働者を使用すると、労働時間、労働日、賃金、定年などの多くのことを決める必要があります。これらを曖昧なままにしているとトラブルに発展します。また我が国の労働法制は、どちらかというと立場の弱い労働者を守るように出来ていますので、一旦ことが起きると、使用者側は不利な立場に追い込まれます。使用者を守る唯一の砦が会社のルールブックである就業規則です。
 近年、「私傷病による休職者を期間満了で退職してもらう」「トラブル社員を懲戒処分にする」などのことは就業規則に定めがないと行うことができません。就業規則を定めることは義務ではなく、むしろ積極的に作ることが経営上求められます。
 ただし作成した就業規則は、使用者の机の中にしまっておくのではなく、労働者に周知しなければ法的効果はありませんので注意してください。

同一労働同一賃金について

2017.04.01

 政府は昨年の12月に、働き方改革の一環として「同一労働同一賃金」のガイドライン案を公表しました。これは、欧州のように同じ業務を行う全ての労働者を同じ賃金すべきということではありません。合理的な理由のない賃金格差を禁止するというものです。
 日本の非正規労働者の賃金水準は正規労働者の六割弱になっており、諸外国に比べて格差が大きくなっています。今回公表されたガイドライン案は、正社員とパートタイマーなどの非正規労働者との間の賃金等格差がある場合(同一企業内で)、どのようなものが不合理かそうではないのかを、事例等により示したものです。
 もちろんこのような格差は、現在の法律でも禁止されています。ただ、具体的にどのような場合が違法なのか明確に示されたものがなかったので、今回のガイドライン案で分かりやすく説明されました。
 なお今回はガイドライン「案」ですが、今後、法改正となれば「案」がとれて正式なものとなります。改正法に合わせて企業側が賃金制度等の改正を行うとしても、相当の時間がかかりますので、早めの検討を始めることが必要となります。

残業規制の労基法が改正されます。

2017.03.01

 政府は、時間外労働時間の規制があいまいな現行の労働基準法を改正し、2017年中に改正法案を国会に提出する方向です。ポイントは次の通りです。

 ①時間外労働の原則的上限が法定化される。
現行の時間外労働の限度時間である、1か月45時間、1年間360時間は変更ないのですが、これが法律条文に明記されます。
 ②特別条項が改正される。
特別条項が1年間のうち6回まで使える点は変更ありません。ただし、特別条項を用いた場合、原則1か月100時間を超える時間外労働は禁止となります。さらに1年間の上限時間は720時間となり、時間外労働の上限は、1か月平均で60時間となります。

 なお、経営者の方に、1年間720時間(つまり60時間の12か月分)さえ守ればいいということで、1か月60時間までは残業させていいといった誤解があります。あくまでも1か月のうち残業時間が45時間を超えてよいというのは、1年間のうち半年までです。
 昨年の大手企業による過労死事件もあり、最近道内企業に対しても、労働基準監督署による調査、指導、是正勧告が頻繁に行われています。法改正前に社内体制の見直しをお勧めします。

マタハラって何?

2017.02.01

 平成29年1月より改正育児介護休業法が施行され、マタハラ防止措置を講じることを事業主に義務付けられました。「マタハラ」とは、マタニティハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産・育児をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産・育児などを理由とした解雇や雇い止め、自主退職の強要で不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味する言葉です。
 法律では事業主がポスターや社内研修等で社内に周知させたり、相談窓口を設置したりして、上司や同僚によるマタハラ行為を防止しなければなりません。
 どのような行動がマタハラになるのでしょうか。厚労省の指針によると、産前休業の取得を上司に相談したら、「休みをとるなら辞めてもらう」とか、時間外労働の免除について相談したら、「次の査定では昇進しないと思え」などの言動。育児や介護休業を相談したら、「自分なら取得しない」とあきらめさせたり、「そんな人に大した仕事はさせられない」という言動。上司に妊娠を報告したら、「他の人を雇うので早めに辞めてもらいたい」、「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」などの言動があります。
 育児介護休業規程の改正はもとより、こうした言動を無くす取組みが必要となります。

定年後再雇用者の賃金問題

2017.01.01

 今年の5月に定年後再雇用されてトラック運転手を務める有期雇用契約の嘱託社員が、定年後給料が下がったことに不満を持ち、会社を訴えました(長澤運輸事件)。東京地裁では、嘱託社員と正社員の賃金格差が労働契約法20条に違反していると判断し会社側が敗訴しました。しかし11月2日東京高裁で「賃金格差が不合理であるとは認められない」と判断し、会社側が逆転勝訴しました。
 この事件で取り上げられた労働契約法第20条は、同じ会社で働く有期雇用労働者と、正社員の賃金などの労働条件が異なる場合、(1)労働者の業務内容とその責任の程度(2)職務の内容と配置の変更の範囲(3)その他の事情─の3要件を考慮した上で、(労働条件の相違が)不合理と認められるものであってはならない、と定めています。東京地裁は、3要件のうち(1)(2)が同じなら、正当化すべき特段の事情がない限り、処遇の差を違法としました。しかし東京高裁は、上記3要件のうち(1)(2)が同じだと認めた上で、(3)その他の事情の判断で、定年後再雇用の賃金引き下げが世間で広く行われていること、賃金引き下げ幅がおおむね2割減で、大きくないことなどを考慮して、「嘱託社員と正社員との賃金格差は不合理なものとはいえない」と判断しました。
 今後嘱託社員の労働条件を決める場合は、職種・地域を限定する、「大幅」な賃金減額は避ける、業務内容・責任の大きさを正社員と区別し明確にしておく等の対策が必要です。

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