旬の特集
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文書作成日:2021/05/27

 新型コロナウイルス感染症対策のため、テレワークを導入する企業は急増し、今後も導入を検討する企業が多くあるかと思います。そこで今回は、2021年3月に改定された「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下、「テレワークガイドライン」という)をとり上げます。

 テレワークはウィズコロナ・ポストコロナの新しい日常、新しい生活様式に対応した働き方であり、また働く時間や場所を柔軟に活用することができる働き方として、更なる導入・定着を図ることが重要になっています。そこで、厚生労働省はすでに策定していたテレワークガイドラインを改定し、企業が適切に労務管理を行い、従業員が安心して働くことのできる良質なテレワークを推進するため、労務管理を中心に労使双方の留意点、望ましい取組み等を明らかしました。

  1. 人事評価制度
     テレワークは、非対面の働き方であるため、個々の従業員の業務遂行状況や、成果を生み出す過程で発揮される能力を把握しづらい側面があるとの指摘がありますが、企業が従業員に対してどのような働きを求め、どのように処遇に反映するかといった観点から人事評価制度を整備し、実施することが基本となります。
     そのため、例えば上司が部下に求める内容や水準等をあらかじめ具体的に示し、必要に応じてその達成状況について上司と部下が共通の認識をもつための機会を設けたり、非対面の働き方において適正な評価を実施できるように、人事評価者訓練を実施する等の工夫が考えられます。
  2. 費用負担
     テレワークを行うことによって、従業員に過度の負担が生じることは望ましくありません。企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等によって費用負担の取扱いは様々であり、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等において規定しておくことが望まれます。
     また、従業員自身が契約した電話回線等を用いて業務を行い、通話料、インターネット利用料などの通信費が増加する場合や、従業員の自宅の電気料金等が増加する場合には、実際の費用のうち業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられます。これに関連して、費用負担等に関する源泉所得税の課税関係については、国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が出されています。
     この費用に関して、一律で手当として毎月定額の支給を検討されている企業もあるかと思います。支給額や支給方法は各企業で決定することになりますが、日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」によると、テレワークを実施するために必要となる費用を従業員に支払う場合には、社会保険の対象となる報酬等には含まないものの、例えば在宅勤務手当として毎月5,000円を渡し切りで支給する場合には報酬等に含むとしています。支給方法によっては社会保険料の負担が増加することも押さえておきたいものです。

 テレワークは、業務の効率化に伴い時間外労働の削減につながるというメリットが期待される一方で、従業員が会社(上司)と離れた場所で勤務をするため、相対的に会社の管理の程度が弱くなる可能性があります。そのため、長時間労働による健康障害防止を図ることや、従業員のワークライフバランスの確保に配慮することが求められています。
 テレワークにおける長時間労働等を防止するため、テレワークガイドラインには以下のような手法が挙げられています。

  1. メール送付の抑制等
    役職者、上司、同僚、部下等から時間外等にメールを送付することの自粛を命ずること等
  2. システムへのアクセス制限
    外部のパソコン等から所定外深夜・休日は事前に許可を得ない限りアクセスできないよう会社が設定すること
  3. 時間外・休日・所定外深夜労働についての手続
    労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数をあらかじめ会社が設定すること
  4. 長時間労働等を行う労働者への注意喚
    テレワークにより長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・所定外深夜労働が生じた労働者に対して、会社が注意喚起を行うこと

 テレワークでは、従業員が上司等とコミュニケーションを取りにくい、上司等が従業員の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合があります。そこで今回、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」が示され、これを活用する等により、健康相談体制の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置を実施することが望まれています。
 また、従業員向けとして、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」が示され、これを活用する等により、自宅等の作業環境に関する状況の報告を求めたり、必要な場合には労使が協力して改善を図っていくこと等が求められています。


 テレワークの実施にあたり、人事労務に関するさまざまな問題がでてくるかと思います。お困りごとがございましたら、当事務所までお気軽にご連絡ください。

■参考リンク
厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html
国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
日本年金機構「標準報酬月額の決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/jireisyu.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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